園部哲史客員教授による特別講義を開催しました
足球彩票4年11月10日「Moyaist Global※ Entry Training(第5回)」において、アジア開発銀行研究所長であり、元政策大学院大学副学長の園部哲史客員教授による特別講義を、オンラインで開催しました。テーマは国際協力についてです。
園部先生の御専門は開発経済学であり、現在、アジア開発銀行(本部はフィリピン)の研究所長として経済支援に携わっておられます。また、足球彩票5年度のG7に併せて開催されるシンク7(※※Think7)の議長でもいらっしゃいます。
冒頭、国際協力の事例として、ある企業が途上国において採算割れの5ドルでトイレの設置を行う話や、研究者が個人的に留学生に専門知識を教えるなど、民間や個人の取組みを挙げられ、政府系ODAだけでなく、すでに身の回りにある国際協力を紹介されました。次いで、学生に対し、国際協力への経験や関心を持つことを呼びかけられ、コンビニでの購入が途上国へのワクチン配布につながる事例や、日本ではフードロスが日常化する一方で途上国では飢餓が問題となっていること、また、フェアトレードなどが、身近な国際協力につながることを語られました。
このクラスは、将来、海外体験を希望する学生に向けて開講していますが、先生は「ぜひ途上国に行って、日本の当たり前が通じないことを体験してほしい。そのことを通じて、自分自身の幅が広がり、世界への考え方が変わる。」「例えば、地球環境レベルで農業をとらえると、途上国の所得水準向上という問題だけでなく、地球上に発生する温暖化ガスの問題、途上国の飢餓だけでない栄養バランスを欠いた食の問題などへ視野が広がっていく。大きな視点でとらえるとさまざまな課題が見えてくる。」と述べられました。そしてそのような課題の解決について、先生は自ら所属されるアジア開発銀行研究所に触れられ、「限られた研究者(ADBIは8名)だけでは解決できない課題がある場合、世界中の研究者に呼びかけて、解決方法を探る研究体制をとっている。」と話されました。
この研究体制は、自国の利益を優先するものではなく国際協力に根付いたものですが、世界から評価を受け、2023年T7の議長就任に繋がっているとのことでした。
後半は、喫緊の経済支援に触れ、「COVID-19に関する発展途上国へのワクチン配布を例にとれば、たとえ元首が支援を約束しても、ロシアのウクライナ侵攻に伴う小麦価格の高騰などによって、経済的政治的配慮から自国ファーストになってしまう。また、1回目の支援で状況が良くなることはなく、継続的な支援が行われることで効果的になる。さらに途上国支援の1つである諸外国間の自由貿易制度を整えても、時間的経過とともに大国の保護政策が働くため、絶えず自由貿易を主張し続ける必要もある。」と論じられました。
加えて、「政府においても、自国民に対し諸外国を支援することについて説明する能力が必要であり、加えて提案し、交渉するための大きなエネルギーが必要となる。だけれども学生の皆さんは宇宙船地球号に乗っていると思って、考えてほしい。また、海外の留学生と友情を築き、彼、彼女の出身国の役に立てることの清々しさを感じてほしい。」と結ばれました。
- Moyaist Global
地域課題に柔軟に適応し、グローバルな視点を持って活動できる学生を育成するためのプログラムです。1年次から4年次までの体系的な学びとグローバルな視点を持つため海外留学等を提供し、世界でも活躍できる学生を育成します。
※※Think7 (T7) is the official think tank engagement group of the Group of 7 (G7). It provides research-based policy recommendations for G7 countries. The Asian Development Bank Institute (ADBI) is the lead chair of T7 under Japan’s 2023 G7 presidency.
Think7はGroup of 7(G7)の公式シンクタンクエンゲージメントグループです。G7諸国に対する調査に基づいた政策提言を提供します。アジア開発銀行研究所(ADBI)は、2023年に日本がG7議長国を務めるT7の議長国です。