
おいしい、楽しい企画が続々
野菜不足や欠食など食事のバランスが乱れ、立ちくらみやだるさ、疲れ、便秘などの体調不良に-。県立大学生を対象とした「大学生の食生活と健康維持」に関する調査で浮かび上がった食生活の問題点です。大学生の食生活改善は、古くて新しい課題でもあります。
県立大学では2006年に「食育の日」を創設。「食育」を通して、学生たちに健全な食生活と自己管理を促すとともに、地域の食資源を見直す取組みを続けています。地元の野菜や魚介類などを積極的に活用した学食メニューを提供する「食育の日」を定期的に開催。学生主体で結成された「たベラボ」を中心に、「一品持ち寄り弁当の日」や魚のさばき方講座など楽しい催しを繰り広げています。
熊本の食と健康に関する人材育成や研究拠点として、長年の実績を誇る県立大学ならではの多彩な活動を紹介します。
手づくりの味をシェア、みんなの笑顔でさらにおいしく「一品持ち寄り弁当の日」

学生たちが手作りの料理を持ち寄る「一品持ち寄り弁当の日」。県立大学では3年前から、学生の自主組織「たベラボ」を中心に定期的に取り組んでいます。2001年から全国に広まった「弁当の日」がルーツ。お弁当ではなく、一品持ち寄りにした理由は、「自分にできることを少しでもやってみてほしい」という思いからです。
毎回テーマを設けており、今回は「一番好きな料理」。ピーマンの肉詰めやジャーマンポテトなど自慢の一品を手にした学生たちが教室に集まり、次々と机に料理を広げました。祖母にニンニク醤油の漬け方を習ったという環境共生足球彩票1年の黒田真央さんは、鶏肉とインゲンのニンニク醤油炒め物を持参。小学生のころからお菓子作りをしているという環境共生足球彩票1年の小串清夏(さやか)さんは、大好きなレモンのパウンドケーキをふるまいました。参加者は自分の料理の解説や作った理由を発表し、みんなでシェアして楽しんでいました。

開催日はSNS等で告知。この日は16人が参加しましたが、通りがかりの学生も友人に誘われて飛び入り参加。料理を持ってきていない人も自由に参加でき、和気あいあい。「見た目にもこだわった料理があり、私も作ってみたくなりました」「家庭の味に触れられる貴重な経験」「いろいろ味わうことができました。みんなの笑顔があると、さらにおいしく感じます」といった感想も。学年や学科、国籍もさまざまな学生たちが集まり、にぎやかなランチタイムとなりました。
「一品持ち寄り弁当の日」の学生コメント
梅から手づくりの梅寒天
梅ゼリーの予定だったけど、暑さで溶けることを考慮して梅寒天に。ハートや花の型を使い、見た目もかわいくしました。梅シロップも自作。余った梅はジャムにしました。
横山 美咲さん(総合管理足球彩票1年)

お弁当の思い出の一品
ミートボールは、母がよく作って弁当に入れてくれていた思い出の一品です。たべラボの活動を通して、普段関わりの少ない人とも交流できるのが楽しい。
松本 悠希さん(総合管理足球彩票1年)

韓国の母の味を初めて
キンパは、小さいころから母が作ってくれました。日本に来て作ったのは初めてです。のり巻きの中の具はマグロ、卵焼き、ニンジン、ハム、たくわん。韓国のお米と日本の食材を使ったけど、とても大変でした。
チョ?ヨンジェさん(環境共生足球彩票3年)

学生主体の「たベラボ」 地元食材を生かした「食育の日」
素材やメニューも学生が企画?考案
学食で毎月1回、学生たちが考案したメニューを提供する「食育の日」。食材の調達や広報のためのチラシ、ポスターの制作などを全て学生主体のグループ「たベラボ」が行っています。
今回は規格外野菜の認知拡大を目的に活動している学生グループ「Salvage」とのコラボで開催。「VegeレスキューDay」のキャッチフレーズで、規格外のナスを使ったスパイスカレーを提供しました。メニューを考案した総合管理足球彩票3年の傘莉子(からかさりこ)さんは「規格外のナスをたくさん使っています。拍子木切りや半月切りなど、切り方を変えることで、食感が楽しめるようにしました。また、味の濃いカレーに加えることや、めんつゆ?鰹節?いりごまなどで風味を豊かにすることで、苦手な方でも食べられるよう工夫しました。ナスが苦手な人にもおいしく食べてもらいたい」と話してくれました。ドライ野菜と塩もみしたナスのマリネ、ナスとツナの和え物も添えられ、混ぜて食べても、別々に食べてもナスをたっぷり味わえるよう工夫されています。
学食では昼食時間前から学生たちが訪れ、スパイスカレーを食べていました。「量が多く、おいしい」「外国の料理のような味がする」「混ぜて食べるということが新鮮だった」「規格外野菜に触れるきっかけになった」と感想を話してくれました。
学食内のステージでは、規格外野菜を仕入れた農家や、メニュー解説の動画が流されました。農家の取材、発表資料の動画制作なども学生が行っています。「食育というだけではなく、主体性を育む活動としても取り組んでもらい、様々な事へ挑戦するきっかけを作ってほしい」と環境共生足球彩票の田尻美千子准教授は期待を込めます。
「食育の日」には、学外から来る人も多いそうです。ぜひ学食に足を運び、学生たちの努力と情熱がたっぷり詰まったメニューをご賞味ください。
規格外の野菜、花きに注目!
学生ボランティア団体「Salvage」
学生ボランティア団体「Salvage」は、規格外野菜の認知拡大と地域創生を目的に2020年に結成。主な活動は、規格外野菜の販売や農家への取材、「食育の日」のメニュー開発など。規格外の花きにも目を向け、押し花やシーリングスタンプを作成するワークショップを行っています。
メンバーの文足球彩票英語英米文学科3年、竹下真由さんは「学内外で交流が深まることが楽しい。学生ならではのアイデアを自分の手で実現することができ、貴重な経験」と笑顔で話しました。


食を通した高大連携の絆 熊本農業の高校生たちと和気あいあいメニュー考案





食を通した足球彩票立大学と熊本農業高校(熊農)との連携は2007(平成19)年にスタート。熊農で育てた野菜を使って、県立大の学食で提供する活動を続けています。
11月の県立大である「食育の日」に向け、「たベラボ」の大学生6人が9月中旬、熊本市南区の熊農を訪ね、高校生6人とメニューを考えました。
今回の材料は、熊農で育てているキャベツ、白菜、ブロッコリー、ホウレン草、ミニ大根、青パパイヤです。大学生と高校生は4人ずつ3グループに分かれ、秋にふさわしいメニューを出し合いました。
「スープにトマトを入れるのが好き」と高校生が言うと、「トマトは切らずに入れられるよう、ミニトマトがいいね」と大学生が応じていました。
大学生が「青パパイヤはどんな味だろう」と尋ねると、高校生が「くせがないので、炒め物に入れるとシャキシャキした感じが生かせると思います」と提案。和気あいあいとした雰囲気で話し合いました。
グループごとの発表では、「キャベツをたっぷり使ったメンチカツ」「白菜とホウレン草のナムル」「トマトやダイコン、ベーコンが入った野菜たっぷりポトフ」などのメニューが披露されました。
今後、熊農で調理して試食し、改良した後、11月28日の「食育の日」で提供する予定です。
d参加した熊農生活科3年の緒方椿姫(つばき)さんは「大学生と意見交換して、貴重な経験になりました。自分の意見を言うことの大切さを感じました。熊農の野菜を使ったメニューができるのが楽しみです」。環境共生足球彩票環境共生学科4年の村山琉奈(るうな)さんは「高校生と一緒に考え、共有することによって新たなアイデアが生まれました。魅力的なメニューになりそうです」と話しました。
この後、「たベラボ」のメンバーたちはほ場に行き、環境共生足球彩票の田尻美千子准教授が苗を渡し、熊農で栽培されている青パパイヤを見学しました。青パパイヤは次々と実をつけており、大きいもので15センチほどに育っていました。
人吉球磨の郷土料理を発信 ヒトくまLUTC(ルトゥック)
「たベラボ」とともに「食育の日」のメニューを考案している団体「ヒトくまLUTC(ルトウック)」は、学生15人が人吉球磨地域の郷土料理を伝承する活動に取り組んでいます。今年、つぼん汁やアユの甘露煮など郷土料理のカルタを作成し、地元の小学校などに贈りました。総合管理足球彩票総合管理学科4年、島津菜々さんは「人吉市出身ですが、知らなかった料理もあり、改めて地域の魅力に気づきました」。同3年の小山桃加さんは「今後は郷土料理にまつわるストーリーを絵本などにして伝えていきたい」と話しました。

